対象会社は多種多様な技術等や製品等を保有している可能性があるため、それらの全て(及びそれに関する資料)を知財DDにおける調査・権等の対象とすることは現実的ではありません。そこで、まず、調査の対象とする技術等や製品等の範囲を特定する必要があります。
対象会社がスタートアップ企業で、事業の基幹となる製品等又は技術等が1つの場合であれば問題はありませんが、対象会社が複数の製品等又は技術等を有している場合には、取引自体の目的に立ち返って、調査すべき対象となる事業をまず特定すべきでしょう。その上で、調査対象を①対象会社の製品等と②対象会社が製品等の提供に利用しているシステム、ソフトウェア等のリソース(利用システム等)に分けた上で、製品等及び利用システム等のそれぞれ利用されている技術等を特定します。もっとも、製品等と対応する技術等の紐付けは一見しては分からないことが多いので、この特定作業は対象会社の協力を得ながら行うことになります。
次に、対象技術等の重要性の高低を分析して、知財DDの対象を絞り込んでいきます。調査項目一覧表には、これらの調査のために必要な調査項目を具体的に列挙し、項目毎に、その調査の目的及び調査資料の一例をまとめています。
対象会社の事業内容
対象会社の事業内容(商流、契約関係)を分析して、対象会社における価値源泉となる製品等を特定・抽出する。
対象製品等の特定
対象会社の各製品等の現在及び将来の収益予測の比較・分析等によって対象会社事業における各製品等の重要性のランク付けを行う等の方法により、主として調査対象とすべき製品等を特定する。
対象製品等に関連する対象技術等の特定
対象製品等が具体的にいかなる対象技術等で構成されているかを分析して、対象製品等に含まれる対象技術等を特定する。
対象会社の事業内容
対象会社の事業内容(商流、契約関係)を分析して、対象会社における価値源泉となる製品等を特定・抽出する。
対象会社の対象製品等の特定
対象会社の各製品等の現在及び将来の収益予測を比較・分析し、対象会社事業における各製品等の重要性のランク付けを行う。
製品等又は対象製品等の製造、販売、提供に利用するシステムやソフトウェアの 特定
製品等又は対象製品等の製造、販売、提供に具体的にいかなるシステムやソフトウェアを用いているかを特定する。
利用システム等の構成の分析
利用システム等が具体的にいかなる内容かを分析して、それらに含まれる知財を特定する。
対象会社が利用している対象技術等を、対象会社が有しており、又は第三者から必要十分なライセンスを受け、出資等の実行以降も引き続き利用可能であることは、出資等の実施の可否の判断や価値評価の上でも重要な要素です。
そのため、まず、①対象技術等の帰属(権利保有)主体が、対象会社又は第三者のいずれなのかを区別する必要があります。その上で、②対象技術等が対象会社以外の第三者に帰属する場合(対象会社が第三者と権利を共有する場合も含む。以下同じ。)において、出資等の実行後も出資等の目的達成に必要な範囲で利用可能かどうかを確認します。
なお、対象技術等が特許権等の登録を要する知的財産権として権利化されている場合には、基本的には、その有効性の調査は非常に重要です。
特に、①創薬や素材分野など、特定の技術シーズの価値と事業価値がほぼ同じで、その対象技術等の将来性に業績を左右されるスタートアップ企業や、②少数の事業又は製品等に収益の大部分を依存しているような対象会社の場合には、当該事業又は製品等に係る対象技術等について、将来的な拡張性を含めた基本的な権利(例えば、基本特許等)を取得できているか否か、第三者が容易に回避可能な特許クレームとなっていないかなど、対象会社自体の保有する知的財産権の利用可能性・利用可能範囲の調査はほぼ必須となります。
一方で、①情報通信分野(いわゆるテック系)のように、特許性の調査に必要な先行文献の範囲が広範かつ曖昧で、確度の高い調査・検討を行うことが難しい分野や、②1つの製品等に非常に多くの特許発明が使用され、網羅的な調査には膨大な時間と費用を要する分野については、実務上は調査範囲を限定するか、又はそもそも調査を省くことも選択肢としてあり得ます。
対象技術等を対象会社が単独で保有しているか、第三者が保有(又は第三者と対象会社で共有)しているかを確認するため。
対象技術等を対象会社が単独で保有しているのか、第三者が保有しているのかなど、対象技術等に関する知的財産権の権利関係を調査するためには、①法的な観点のみならず、②事実上の観点からも調査・検討する必要があります。
まず、①その発明者や創作者の確認や②共有者の確認といった直接的な確認が考えられます。これらの調査項目の調査資料としては、特許、意匠、商標等の特許庁への登録が必要な知的財産権については、特許庁が管理する権利者の記録簿である登録原簿を閲覧することで最新情報を確認することが一般的です。もっとも、最新情報が反映されるまで多少のタイムラグはあるものの、無償で公開されている特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用することも可能です。著作物の場合には、登録をせずとも法律上は権利は発生しますが、一部の著作物については、文化人名録やSOFTICのデータベース(ソフトウェア著作物)を確認することもできます。
また、③製品等の開発方法の確認や、④対象技術等の利用に関する契約の確認といった技術等の生まれた経緯を確認することで、登録情報上の形式的な記載と実際の権利関係の不一致を発見することに役立ちます。また、発明者、創作者等については、対象会社の従業者からのヒアリング等によらざるを得ない場合も多いため、客観的な物証で裏取りをすることも有効です。例えば、業務委託契約や共同開発契約といった、製品等の開発に関連する契約内容を確認することで、製品等が自社開発なのか、共同開発なのか、あるいは第三者へ外注して開発したのか、といった点が確認できます。
⑤職務発明については、その特許を受ける権利を使用者等(会社)が取得するには、従業者から譲渡を受けるか、職務発明規程等の社内規則で必要な規程を設けることが必要です。よって、そのような規程の有無や、規程に沿った手続きに則って会社が権利を取得しているかどうかを確認することが必要とも思われます。もっとも、対象会社が職務発明に係る権利を取得する手続自体は難しいものではないので、取引実行前の義務やPMIの中で対応することも考えられます。
加えて、特許法上の「従業者等」には、会社の代表権を持つ役員(代表取締役等)は含まれないため、創業社長が発明者であるような場合には、職務発明に当たらないこともあり得ます。このような場合に、今後も権利を創業社長が保有し続け、対象会社へのライセンスを行うのか、それとも対象会社が権利を取得済又は将来取得するのかは、重要なポイントとなります。
同様に、大学発ベンチャーの場合には、技術のオリジネータである大学教員が当該ベンチャーにどのように関わるのかという点は重要です。仮に、当該ベンチャー企業が特許権を譲り受けていたとしても、刻々と変化するマーケットに対応するために大学教員の知見が必要である場合があります。仮にこれが必要であるとすると、当該教員とベンチャー企業との契約、当該教員のベンチャー企業における地位(取締役、CTO等)、当該教員が長期間ベンチャーに関わり続けるインセンティブの確保の状況(ストックオプションの付与など)など、当該教員から技術的な知見の提供を受けられる体制の確認を行うことも一案です。反対に、対象会社の技術管理が粗雑であったり、従業者等の定着率が悪く、コアとなる技術者の転退職が多いなどの事情がある場合、その状態が将来にわたって維持されるかどうかは疑義なしとはいえません。このように、対象技術の帰属性については、現時点のみならず将来にわたり対象会社の技術競争力が損なわれる要素がないかどうか、という観点からの精査をすることもあり得ます。この点は、後述のガバナンス調査とも関連することになります。
対象会社が利用している技術等が法的に保護されているか否か、今後法的に保護される可能性があるか否か、及び保護の地域的範囲を確認する。
対象会社が利用している技術等のうち、発明、考案、意匠、標章、植物新品種等の登録が権利発生の要件となっている知財が法的な権利として保護されるためには、出願をし、特許庁等に登録される必要があります 。そこで、対象会社が利用している技術等の出願手続などの経過を確認することが重要です。もっとも、前記2の解説で指摘したように、対象会社に関連するすべての知的財産権について調査をする必要は必ずしもありません。 これらの調査項目の調査としては、例えば特許庁に記録されている出願経過書類や登録原簿を閲覧することが考えられます。これらの資料により、出願状況や登録の状況(審査請求や登録料の納付状況等)を確認することができます。
出願中の技術等が今後法的に保護される可能性があるか否かを確認するため。
特許の出願がなされていても、特許性を具備していなければ特許査定はなされません。そこで、出願済で未だ特許査定されていない技術等が、今後、特許査定され特許権として保護されるかどうかを判断するためには、理論上は、特許性の有無を確認する必要があります。しかし、前記2の解説で示したとおり、特許性(新規性・進歩性)の調査には、技術的な困難のほか、時間や費用上の制約がある場合が多いため、実務上、これらを検討するのは限られた分野・取引に限られるといえます。 これらの調査項目の調査としては、例えば特許庁に記録されている出願経過書類や登録原簿を閲覧することが考えられます。また、J-PlatPatを通じても、審査経過書類の閲覧は可能です。
第三者からの権利無効主張の可能性の有無及び無効になる可能性を確認するため
特許権として登録されていても、年金の未払いや存続期間の満了等により、特許権の効力が消滅する可能性があります。一方で、特許年金の支払状況や存続期間等は、形式的かつ客観的な資料により容易に確認することができます。 また、無効理由の存在によって、事後的に特許が無効とされるおそれもあります。そのため、理論上は、その権利の有効性を調査することがあり得ますが、前記b同様、特許性(新規性・進歩性)の調査には、技術的な困難のほか、時間や費用上の制約がある場合が多いため、実務上、これらを検討するのは限られた分野・取引に限られます。もっとも、すでに異議申立てや無効審判の手続が係属している場合には、相手方の主張の妥当性や補正・訂正の余地について検討する必要があります。 これらの調査項目の調査としては、例えば特許庁に記録されている出願経過書類や登録原簿を閲覧することが考えられます。また、J-PlatPatを通じても、審査経過書類の閲覧は可能です。
特許発明(考案)の技術的範囲
製品等が保護される範囲及び第三者からの権利侵害の主張の可能性を確認する
前記2の解説で示したとおり、対象技術等毎の、対象会社における利用可能性・利用可能範囲の調査については一定の限界がある一方で、特定の重要性の高い対象技術については、その特許権(の権利範囲)が、保護の対象とすべき製品等にとって十分なものであるかを確認する余地があります。 これらの調査項目の調査資料としては、出願書類や特許明細書のほか、出願経過の書類を確認し、請求項の減縮(審査官の指摘を受けて行う権利範囲を小さくする修正)の経緯を確認することで、対象技術等の位置づけが明確になることがあります。 これらの資料により技術的範囲を検討したあとは、実際の対象製品等との対照表(いわゆるクレーム・チャート)を作成し、必要な権利範囲が確保されているかを確認することもあります。
対象会社が当該技術を利用する際に、障害や負担があるかどうかを確認するため。
対象会社の特許権に何らかの負担(例えば、特許権に第三者の質権が設定されているとか、第三者に独占的にライセンスする義務を負っている等)が付されている場合、対象会社が重要な対象技術等に係る特許権等を有していても、自由にその権利を譲渡したり、第三者に新たにライセンスを付与することができるわけではありません。このような負担には、大きく分けて、担保権の負担と、第三者へのライセンス(専用実施権又は通常実施権)に伴う負担が考えられます。
特許権には、質権を設定することができ、また譲渡担保(本来の特許権者が第三者に債務の担保として特許権を譲渡した上でライセンスの設定を受ける)を設定することも可能です。よって、対象会社が保有する特許権が継続的に利用していけるかどうかを判断するために、担保権設定の有無を確認する必要があります。特許権への担保権設定は登録が効力発生要件(特許庁に登録されなければ効力が生じない)であるため、登録原簿を確認すればその存否及び内容が確認できます。
また、特許権が第三者にライセンスされている場合には、その特許発明を対象会社が独占していないということを意味します(もっとも、実施の分野が限定され、対象会社の事業分野の独占には支障がない場合もあります。)。さらに、そのライセンスが専用実施権(特許権者自身も実施できないライセンス)の設定などの場合には、対象会社自身も当該特許発明を実施できません。よって、第三者へのライセンスの有無及びその内容の確認は特に重要です。そのライセンスが専用実施権の場合は、登録が効力発生要件であるため、登録原簿を確認すれば分かりますが(ただし、詳細な契約条件については契約書の確認が必要です。)、通常実施権は登録が不要であるため、ライセンス契約等の契約書の内容を確認する必要があります。
ライセンス料収入の継続性が担保されていることを確認する。また、当該ライセンス契約が独占禁止法に抵触しないかを確認します。
技術等に係る知的財産権のライセンス・アウトによるライセンス料が収益の柱となっているような場合には、ライセンス料収入の継続性が担保されていることが重要です。 よって、対象会社が締結している重要なライセンス・アウト契約の内容を確認し、契約の解除事由及び解除事由を構成する事実の存否、契約期間、更新の条件等を確認します。 また、ライセンス契約は、ライセンスされた特許発明からの改良発明やライセンシー独自の発明に係る権利の取扱い条件等が、独占禁止法に抵触する可能性があります。小論は避けますが、重要なライセンス契約については、「知財の利用に関する独占禁止法上の指針」(公正取引委員会)に照らして独占禁止法に抵触していないかどうかを確認する必要がある場合もあり、契約上は特許権者に有利な規定となっていても、実際にはそのとおりに執行できない場合もあるので注意が必要です。 これらの調査項目の調査資料としては、例えば、ライセンスに関する契約書があり、それらによって、ライセンス契約の期間やライセンス条件を確認できます。
対象会社が利用しているブランドが法的に保護されているか否か、今後も継続的にブランドが保護される得るか、商標権を取得している地域的範囲と商圏(マーケット)が一致しているかを確認します。
対象会社の製品等の「ブランド」を法的な権利として保護していく上で、商標出願をし、審査を経て商標登録されているか否かは重要です 。仮に商標登録を受けていなくとも、不正競争防止法に基づいて、対象会社の製品等と誤認混同を生ずるような表示については差止請求を行う余地もありますが、模倣者の主観的要件や周知性の立証のハードルは低くないため、やはり商標登録を受けている方が安心です。 これらの調査項目の調査資料としては、例えば、J-PlatPatや登録原簿等があり、出願状況や登録の状況を確認することができます。
第三者からの権利無効主張の可能性の有無及び無効になる可能性を確認することで、今後も継続的に商標の排他的な使用が可能か確認します。
商標として登録されていても、登録料の未払いや 不更新等により、商標権の効力が消滅する可能性があります。また、無効理由の存在や不使用取消請求などによって、事後的に商標登録が消滅するおそれもあります。そこで、登録が確認できた商標権についても、理論上は、その権利の有効性(や後述する使用状況)を調査する必要があります。 このうち、登録料の支払い状況や更新手続の有無は、形式的かつ客観的な資料により容易に確認することができます。一方、商標の無効理由の調査については、知財DDに係る期間や費用上の制約により、一般的には難しいため、そのブランド自体が出資等における価値の中止委であるといった事情がない限り、 知財DDにおいて調査することはあまりありません。 これらの調査項目の調査資料としては、例えば、登録原簿やJ-PlatPatがあり、これらを通じて、登録料の支払い状況や権利の存続期間のほか、異議申立等の有無が確認できます。
ブランドが保護される範囲、及び第三者からの権利侵害主張の可能性の有無を確認する。
商標権は、指定商品・指定役務の範囲でのみ独占排他性を有するものであることから、まず、登録されている商標権の指定商品・指定役務で必要な製品等をカバーしているかどうかを確認する必要があります。 なお、商標権は、登録標章と類似する類似商標や類似商品・役務に対しても禁止権(差止め請求権)として及ぶため、実際上の権利行使においては、商標の類似性や商品・役務の類似性も重要な要素となります。しかし、これらの類比の判断は多分に法的判断であり容易でない場合も多いため、実務上は、知財DDにおいて調査することは、現に紛争の対象となっている商標や、取引の目的となっている極めて重要な商標などに限定されると考えられます。 これらの調査項目の調査資料としては、J-PlatPatのほか、検査機能に優れた民間の商用データベースを利用できます。
対象会社(ライセンスしている場合はライセンス先含む)におけるブランドの使用状況
ブランドの実際の使用状況を調査することで、不使用取消による商標登録取消がなされる可能性の有無を確認できます。
商標は、商標権者が継続して3年以上、登録商標を指定商品・指定役務に使用していない場合には、第三者がその登録の取消を請求することができるため(商標法50条)、対象会社の保有する登録商標がこのような不使用取消の対象にならないかどうかを調査する必要があります。 これらの調査項目の調査資料としては、例えば、ブランドと製品等の対応関係のリストや、製品等のカタログ等の販促資料があります。カタログには使用時期が記載されていることが多く、商標が使用されているか否かといった使用状況を確認することができます。
対象会社がブランドを利用する際に、障害や負担があるかどうかを確認します。
商標権に担保権や第三者ライセンス(専用使用権又は通常使用権)を設定できることは、特許権と同様です。内容については特許権とほぼ同様であるため、特許権の項を適宜参照して下さい。
ライセンス料収入の継続性が担保されていることを確認します。 また、当該ライセンス契約が独占禁止法に抵触しないかを確認します。
ライセンス・アウト契約の調査については、特許権のところで述べたことが同様に当てはまるため、特許権の項を適宜参照して下さい。
対象会社が利用しているデザインが法的に保護されているか否か、今後法的に保護される可能性があるか否か、及び保護の地域的範囲を確認します。
第三者からの権利無効主張の可能性の有無及び無効になる可能性を確認します。
デザインが保護される範囲、及び第三者からの権利侵害主張の可能性の有無を確認する。
対象会社がデザインを利用する際に、障害や負担があるかどうかを確認するため。
ライセンス料収入の継続性が担保されていることを確認する。また、当該ライセンス契約が独占禁止法に抵触しないかを確認する。
意匠権については、特許権又は商標権について述べたことがほぼそのまま当てはまるため、これらの説明を参照して下さい。
登録されている著作物がある場合には、その登録情報
登録されている著作物の登録情報から、著作者や権利者を確認します。
著作権には、一応は登録制度も存在するため、知財DDにおいて、対象著作物の著作権登録を調査することもあり得ます。しかし、著作権の場合、登録は権利発生要件ではなく、対抗要件(移転登録、出版権設定登録の場合)、又は法律上の推定効(実名登録、第一発行年月日登録、プログラムの創作年月日登録の場合)が生じるに過ぎず、また、あまり利用されていないという実態もあるため、登録の有無を調査する必要性は、特許権等の産業財産権に比して著しく低いといえます。逆に言えば、登録を調査しても、著作権の権利帰属が必ずしも確認できるわけではありません。
また、著作物には言語、音楽、美術、建築、映画、写真及びプログラムなどの多様なものが含まれる上、二次的著作物、編集著作物及びデータベース著作物などの特殊なものが含まれることから、登録の調査に当たっては、そもそも対象著作物を特定すること自体に困難を伴う点に注意すべきです。
これらの調査項目の調査資料としては、例えば、文化庁著作権等登録状況検索システムがあります。ただし、前述のとおり、著作権の場合はそもそも登録制度自体が権利の存在や権利者を裏付けるものではないため、確認できる内容は限定であることに留意する必要があります。
当該著作物の著作権の保護期間
著作権が有効に存続しているかどうか、著作者の死亡年や公表年を確認します。
著作権が存在していても、保護期間の満了により著作権が消滅している可能性があります。そこで、重要な著作物に関しては、保護期間を確認する必要がありますが、著作権の保護期間は、著作物の種類、著作者が自然人か法人か、著作者の国籍等(戦時加算の有無)、といった要素により著作物毎に期間が異なる可能性があることに留意する必要があります。
著作物の保護期間を知るためには、著作者の死亡年(通常の著作物の場合)や、著作物の公表年(法人名義の著作物や映画の著作物等)を確認する必要があり、著作物の現物(例えば書籍や映画そのもの)に記載がある場合もあるため、著作物の現物を確認することで保護期間を確認できる場合もあります。
対象著作物が保護される範囲、及び第三者からの権利侵害主張の可能性の有無を確認します。
対象著作物が著作権で保護される場合であっても、理論上は、その保護の範囲が保護の対象とすべき著作物にとって十分なものであるかを確認する余地があります。しかし、特許等と異なり、著作権については網羅性のあるデータベースが存在しないため、およそ第三者の権利侵害のないことや、対象会社の著作物が第三者の著作物の複製や二次的著作物でないことの確認を行うことは不可能であり、知財DDにおいても、具体的な懸念がすでに明白な場合でなければ、本調査は実施しなくとも良いでしょう。
対象会社が対象著作物を利用する際に、障害や負担があるかどうかを確認します。
当該項目は、対象会社の著作権に付されている負担の有無の調査であり、大きく分けて、担保権の負担と、第三者ライセンスの負担が考えられます。
著作権には、特許権同様、質権、譲渡担保権等の担保権を設定することができます。よって、対象会社が保有する著作権を継続的に利用していけるかどうかを判断するためには、担保権設定の有無を確認する必要があります。著作権への質権設定は登録が対抗要件であるため、登録されていれば、著作権登録を確認することでその存否及び内容は分かりますが、登録されていない場合や質権以外の担保権の場合は、担保権設定契約書を確認する必要があります。
また、著作権が第三者にライセンスされている場合、当該著作物を対象会社が独占的に利用していないということであり、さらに、そのライセンスによって対象会社自身による著作物の利用も禁止されている場合(いわゆる完全独占利用許諾の場合)もあり得ます。著作権のライセンスについては、専用実施権等と異なり登録制度がないため、常にライセンス契約等の契約書の内容を確認する必要があります。
ライセンス料収入の継続性が担保されていることを確認します。また、当該ライセンス契約が独占禁止法に抵触しないかを確認します。
ライセンス・アウト契約(特にソフトウェア等のライセンス)の調査については、特許権のところで述べたことが同様に当てはまるため、そちらを参照されたい。
著作権法第27条(翻案権)及び第28条(二次的著作物の利用に関する権利)に定める権利については、特に譲渡時に明記しない限り、「著作権を譲渡する」だけでは譲渡されないため、これらの権利の譲渡が適切になされているかを確認します。
また、著作者人格権は譲渡不能であるため、対象会社が対象著作物を自由に利用できることが契約上担保されているかを確認します。
著作権のうち、翻案権(著作権法27条)及び二次的著作物の利用に関する現著作権者の権利(同28条)は、著作権譲渡契約において「特掲」しない限り、譲渡の対象になりません(同61条2項)。これは、譲渡契約において「全ての著作権を譲渡する」「一切の著作権を譲渡する」と記載するだけでは、これらの権利は譲渡されないということになります。よって、対象会社が第三者から著作権を全て譲り受けているという場合には、譲渡契約において同27条及び28条が特掲されているかを確認する必要があります。
また、著作者人格権は譲渡が不可能であることから(同59条)、著作権が譲渡されていたとしても著作者人格権は最初の著作者に残存することになるため、著作権譲渡契約においては、著作者人格権、特に同一性保持権(改変を認めない権利)や氏名表示権について、行使しない旨の特約(著作者人格権不行使特約)を規定することが一般的です。ここでは、例えば、対象会社が導入したソフトウェアについての将来的な改良の有無などの必要性を踏まえて、同規定があるかどうかを確認する必要があります。
不正競争防止法上の「営業秘密」の要件、特に秘密として管理されている状況かあるかを確認します。
営業秘密又はノウハウは、秘密管理性・有用性・非公知性といった要件を満たした不正競争防止法上の「営業秘密」に該当する場合、法的保護を受けることができます。よって、対象会社が保有している営業秘密又はノウハウが、これらの要件を満たしているかどうかを確認する必要があります。特に、営業秘密の要件の中での秘密管理性については、社内における秘密情報の管理体制など、ガバナンスの観点からの調査検討が重要となります。
なお、必ずしも不競法の「営業秘密」に該当しなくとも、営業秘密又はノウハウとして価値を有する場合もあります。ただし、そのような場合であっても、秘密に管理されていることにその優位性があることに変わりはなく、いずれにせよ不競法の各要件の観点から調査・分析することは有益です。
秘密管理性の確認のための調査資料としては、例えば、対象会社の秘密管理規程や就業規則、役職員から徴収している秘密保持誓約書等があります。また、非公知性の確認のための調査資料としては、取引先との秘密保持契約書等があります。
対象会社が営業秘密・ノウハウを利用する際に、障害や負担があるかどうかを確認し、営業秘密漏洩のリスクの有無及びその可能性の大小を確認します。
営業秘密又はノウハウが第三者にライセンスされていることは、他の知財のライセンスに比してそう多くはないと考えられます。しかし、ライセンスされている場合については、特許権等と同様の調査が必要となり得ます。
技術ライセンス契約等の有無
対象会社による当該技術のこれまでの利用が適法であること、及び製品等への今後の利用が可能であることを確認します。
技術ライセンス契約等における以下の各事項。
対象会社による当該技術のこれまでの利用が適法であること、及び製品等への今後の利用が可能であることを確認します。
ブランドライセンス契約等の有無
対象会社による当該ブランドのこれまでの利用が適法であること、及び製品等への今後の利用が可能であることを確認します。
ブランドライセンス契約等における以下の各事項。
対象会社による当該ブランドのこれまでの利用が適法であること、及び製品等への今後の利用が可能であることを確認します。
デザインライセンス契約等の有無
対象会社による当該デザインのこれまでの利用が適法であること、及び製品等への今後の利用が可能であることを確認します。
デザインライセンス契約等における以下の各事項。
対象会社による当該デザインのこれまでの利用が適法であること、及び製品等への今後の利用が可能であることを確認します。
著作物ライセンス契約等の有無
対象会社による当該第三者著作物のこれまでの利用が適法であること、及び製品等への今後の利用が可能であることを確認します。
著作物ライセンス契約等における以下の各事項。
対象会社による当該第三者著作物のこれまでの利用が適法であること、及び製品等への今後の利用が可能であることを確認します。
著作物ライセンス契約等無く製品等に利用されている第三者著作物の利用の適法性(引用(著作権法第32条)該当性、複製(著作権法第21条)非該当性等)
対象会社による当該第三者著作物のこれまでの利用が適法であること、及び製品等への今後の利用が可能であることを確認します。
ノウハウライセンス契約等の有無
対象会社による当該営業秘密・ノウハウのこれまでの利用が適法であること、及び製品等への今後の利用が可能であることを確認します。
ノウハウライセンス契約等における以下の各事項。
対象会社による当該営業秘密・ノウハウのこれまでの利用が適法であること、及び製品等への今後の利用が可能であることを確認します。
前述II.1.において、対象技術等が対象会社に帰属しているか第三者に帰属しているかの調査を行い、第三者に帰属していること(共有含む)が判明した対象技術等については、その対象技術等を対象会社が適法に実施又は利用できることを確認する必要があります。 そして、第三者帰属の対象技術等を適法に利用するためには、その第三者から許諾を受けているか、又はその第三者から許諾を受けた第三者からさらに許諾を受けている(いわゆるサブライセンス)必要があります。
ここでは、そのようなライセンス契約の有無の調査及びライセンス契約の内容の調査を行います。ライセンス契約は、名称は様々なものが考えられ、共同開発契約や研究委託契約といった、直接的には「ライセンス」や「許諾」といった文言が含まれていない契約においても、実質的にライセンス条項が含まれている場合もあり注意が必要です。特に、対象会社に「ライセンス契約」の開示を求めても、このような契約は開示対象から漏れることも多いため、事業上必要な知的財産のうち重要なものについては、Q&Aシートなどで個別に実施又は使用できる根拠を確認することも有用です。
ただし、個別のDDにおいて、ライセンス契約などの関連契約の本数が膨大であるような場合に、全ての契約を調査することは現実的ではなく、そのような場合には、調査対象とするライセンス契約や条項を選別する必要があります。
対象会社が現に抱えている訴訟及び裁判外紛争の調査は、一般的なDDにおいて通常行われるものであり、知財関連の紛争においてもその調査の重要性に変わりはありません。
ただ、知財紛争特有の問題として、特に海外(特に米国)における、いわゆるパテントトロールとの紛争があります。特に米国においては、特に情報通信分野においても多数のパテントトロールが存在しているため、対象会社が米国で事業を行っている場合には、パテントトロールからの警告や訴訟提起を多数受けていることも珍しくありません。
パテントトロールは多くの場合、和解金狙いであり、経済合理性のみで動くことから、パテントトロールとの紛争については、事業会社間の一般的な紛争とは違った基準でその内容や帰趨を分析する必要があり、訴訟が継続中であることを直ちにネガティブに評価する必然性は低いといえます。また、分野によっては極めて多数の訴訟が提起されている可能性があるため、時間が限られている知財DDの場面においては、そもそもそれらを全て検討することは有益ではなありません。なお、パテントトロールに関しては、提訴されるのは比較的大きな企業であることや、大企業であっても技術領域によってはパテントトロールの影響はあまり大きくないことなども考慮する必要があります。したがって、単に開示を受けた訴訟資料を机上で調査するだけではなく、その紛争の実態を踏まえて調査することが要求されます。
これらの調査項目の調査資料としては、訴訟記録や相手方とやり取りをしている文書など、紛争自体に直接関連する資料があります。しかし、時間が限られている知財DDの場面において、そこまで調査をする時間はない場合も多く、対象会社がまとめた訴訟一覧や紛争一覧を踏まえ、訴額の大きな紛争に関する弁護士等の専門家の意見書等を調査し、祖も妥当性を検証するにとどめることも一般的です。
顕在化している紛争案件による権利の有効性への影響、製品等の差止のリスク、対象会社が被る損害賠償リスクの確認をします。
訴訟には至っていないが将来訴訟となる可能性のある潜在的な紛争案件による権利の有効性への影響、製品等の差止のリスク、対象会社が被る損害賠償リスクの確認をします。
(具体的調査項目は、各技術等に関する前述「担保設定及び第三者へのライセンスの設定の有無及びその内容の調査」「ライセンス・アウトの有無及びその内容」「(技術・ブランド・デザイン・著作物)ライセンス契約等における以下の各事項」参照。)
過去に終結した紛争案件が対象会社に与える影響の確認をします。
出資等の後に、対象会社の製品等を製造・販売し、又は対象会社が有している技術等を利用して新たな製品等を開発・製造・販売していくにあたって、第三者の権利を侵害する等の支障がないかどうかを調査しておくことは重要です。そのような調査は、「Freedom to Operate(FTO)調査」などと呼ばれ、製品等の分野によっては比較的一般的に行われています。
しかし、当該調査はそれ自体のみで多くの時間と費用を要する場合が多いため、期間や費用が限られているDDにおいては、当該調査が十分に行われることは珍しく、前記3の対象会社が認識している知財関連紛争の調査に止めることが一般的です。仮に、FTO調査を行う場合であっても、現に第三者の権利を侵害していないかどうかや、侵害する可能性が顕著に存在するかどうかを調査する程度であることが多いといえます。
ここでは、内容的にはいわゆるフルサイズ(精緻な)のFTO調査ではなく、知財DDの実務で一般的に行われている、あるいは行うことが現実的に可能と思われる調査を挙げるに止めます。ただし、下記1の調査は、これが行われればリスク調査としては万全ではあるものの、知財DDの中では現実的には難しい場合が多いと思われます。そこで、1に比して容易に行える2又は3の調査によって、網羅的ではないものの、現実的な紛争リスクを把握することが有用です。
なお、事業領域や分野によっては第三者が必須特許(その技術を実現するために必須不可欠又は回避不能な特許)を保有していることがあり、形式的に第三者の権利侵害があることをディール・ブレーカーと捉えると、このような対象会社は常に取引適格を欠くという結論になるおそれがあります。このような場合においては、対象会社が同じく必須特許を保有していることを確認することできれば、当該第三者との間で特許を実施し合う関係となるために、契約として顕在化するかどうかはともかく、いわゆるクロスライセンス関係となり、特許リスクを打ち消すことが可能です。一方で、このような関係は対象会社が当該第三者が実施する非必須特許を保有していても実現できますが、非必須特許の場合には、当該第三者によって回避される余地があるために、必須特許保有の場合に比して慎重な判断が必要となります。
先行技術調査
対象会社の技術等と同技術領域・同事業領域に属する他社特許等・技術の有無を先行技術調査の内容を確認し、先行技術が存在するかどうかのチェックを行います。
権利の有効性調査
他社特許等・技術が存在し、既に権利化されている場合、その権利の有効性を調査し、権利の有効性を確認します。
無効化資料調査
権利侵害の可能性が高い場合、問題となっている権利を無効できるかどうかの確認を行い、無効化するための資料の調査を行います。
侵害性の鑑定
権利の有効性が確認された場合、その権利を対象会社の技術等が侵害していないかの権利侵害の成否について、確認をし、必要性に応じて専門家に鑑定を依頼する。また、過去の鑑定書がある場合にはその内容も確認します。
同種技術等に関する他社の紛争を検討することで、対象会社の製品等が現に他社の権利を侵害している可能性、今後権利を侵害する可能性、及び他社から権利侵害の主張を受ける可能性の有無・大小を確認します。
前記3参照。
対象会社において知財をどのような方針・体制で管理し、取り扱っているかを調査することで、個別の調査では発見できなかった潜在的なリスク(第三者の権利を侵害するリスク、自社の権利を侵害されるリスク、自社の権利が消滅するリスク、その他知財関連紛争に巻き込まれるリスク等)、将来生じうる知財関連のリスクを予想し、又は取引実行後に知財管理体制を見直すことの必要性を検証することが有益です。
この調査は色々な観点が考えられるが、ここでは、①知財に関する基本方針、②知財(営業秘密を除く)の管理体制、②営業秘密の管理体制、④職務発明の取扱いという観点から調査項目を挙げています。
例えば、営業秘密の管理体制については、個別の営業秘密の秘密管理性のみならず、対象会社内における情報セキュリティ(アクセス管理等)などITに関するDDと重複する事項について確認する必要があります。なお、不正競争防止法上の秘密管理性とは、営業秘密に触れる者が秘密として管理されていることを認識可能な客観的な状況があるかどうかによって判断されるため、従業者等へのセキュリティ教育の実施状況などをヒアリングで確認することも有用です。
また、職務発明については、特にスタートアップ企業などでは創業者が発明者であることも多く、相当利益請求権への認識が希薄であるため、現実のリスクとしては顕在化しないことも多いと思われますが、特許法上は、事前の基準がなければ、相当利益請求権の内容は裁判所に委ねられてしまうため、将来的に負担する債務の範囲が定まらないことになります。仮に対象会社内で関連規程が未整備である場合には、PMIなどの中で適宜整備を支援していくことで対応することも可能です。
対象会社がいかなる方針で、自社の知財を管理し、他社の知財を利用し、あるいは自社の知財侵害に対して対応し、他社の知財の侵害を回避しているかを確認することで、対象会社における知財の活用度や他社権利侵害リスク等を把握する。また、知財の創出や管理におけるキーマンを特定します。
対象会社における知財関連リスク(第三者の権利を侵害するリスク、自社の権利を侵害されるリスク、自社の権利が消滅するリスク、その他知財関連紛争に巻き込まれるリスク等)の内容及びその大小を把握すると共に、当該知財DDにおいて網羅できなかった調査箇所の補完します。
対象会社の保有する営業秘密について不正競争防止法等による保護を受けることが可能か、逆に第三者から営業秘密の侵害を理由とする請求を受ける可能性がないかを確認します。
将来の訴訟リスク及び敗訴時の経済的なインパクトを予測します。
知財の価値評価を行うにあたっては、前提として、「対象となる知的財産の特定」、「知的財産の法的実効性の確認」等を行う必要があります。
対象となる知財の特定した後、その価値を評価し、知財経営に資する戦略提言や投資意思決定の判断材料の一つとすることになります。知財の価値評価は、前提条件を基に様々な手法を用いて行わ、その手法の分類方法を大別すると、定性評価と定量評価に分類することができます。
定性評価は「質的アプローチ」とも呼び、現象の質的理解や説明に用いられ、数値として測量できないデータを解釈する際に用いられます。一方、定量評価は「量的アプローチ」とも呼び、現象の量的理解を数値化したデータによって解釈します。価値評価手法においては、定性評価と定量評価は両輪として補充関係にあるため、定量評価を進めていく際にも質的データは必要となります。例えば、質的情報を数量化することにより、定量評価では解明できなかった要素間の関係性を明瞭にすることも可能です。
例えば、アンケートデータは対象者の主観的回答(質的)を数値化することにより定量評価が可能となり、データの可視化につながります。定量評価の代表的手法としては、コストアプローチ、マーケットアプローチ及びインカムアプローチの3つの手法が存在します。各々、メリットとデメリットが存在するため、ケースに応じて知財の価値評価手法を適宜選択することが必要です。ただし、知財の価値は事業性や権利保有者等によって大きく価値が変化するため、知財の価値評価手法としては、事業貢献度を加味できる「インカムアプローチ」を用いるケースが多いのが現状です。
このように、知財の価値評価を行うには、確認すべき事項が多数存在し、その手順も複雑です。しかしながら、現状は、各事業会社等では、知財の価値評価を行うか否かの判断及び価値評価の手法も担当者の判断に依っているのが現状です。
価値評価対象の技術・事業の特定を行う。
対象会社のM&Aや技術提携の対象となる知財が、特許等(技術等)や、商標(ブランド等)、意匠(デザイン等)、著作物(コンテンツ及びプログラム等)、あるいは営業秘密・ノウハウ、その他の知財(ビッグデータ等)のいずれなのかを見極め、価値評価の調査対象を特定します。
知財の価値を定性面からの評価を行う。
対象会社の事業戦力や技術評価、ブランド評価などを定性的に評価することで、投資意思決定の判断材料のひとつとする。知財の定性面からの評価を行う手法として、(1)対象会社の事業内容の分析(価値源泉となる製品等の特定等)、(2)対象会社の製品等やシステム、ソフトウェアの構成の分析(含まれる知財の特定等)、(3)対象会社の売上構成の分析(製品等毎のライセンス料売上の比較等)が例として挙げられます。
知財の価値を定量面から評価を行う。
対象会社の技術やブランドなどの知財の経済的価値や、ライセンス対価を定量的に評価することで、投資意思決定の判断材料のひとつとする。